Pick Up Movies

Posted on, by | 10月 1, 2002 | | No Comments

映像美と言えばこれ。
■パトリック・ボカノウスキー監督
『天使(L’ANGE)』


’84年にパリで公開されるやいなや、マスコミ各紙が一斉に最大級の賛辞を送ったシュルレアリスム発祥の地フランスならではの作品。セット作りと撮影に2年、特殊効果と編集に3年という、もはや芸術としか言えない手のかけよう。古典的な特殊効果、複雑なセット、特殊合成、1コマ単位の気の遠くなるような編集は『芸術に完成はない』と言う言葉を裏付けるかのようだ。天井から吊るされた人形をサーペルで突き刺し続ける仮面の男。ゆっくりと落下し、砕け散り続ける壷とミルク。架空の立方体に閉じ込められた裸女に丸太を持って襲いかかり続ける無数の男たち。光と影の鮮烈で曖昧な輪郭。音楽も弦を中心にしたシュルレアリスム的なイメージで、アンビエント系のDJにもよく使われるほどで、これは観るしかないでしょう(眠気と戦いながら)。



センスがいいとはこのことだ。
■セディ・べニング『それは愛じゃない
(IT WASN’T LOVE)』


私が彼女の作品に出会ったのはとある都内の美術館でのこと。その日は確か写真のグループ展のようなものをやっていたのだが、思いがけず展示内容が技術的だったので、私は早々に会場を出た。出口では彼女の作品がモニタに流れていた。高い金を払って早々に帰るのもなんなので遠巻きにそれを眺めていたのだが、いつしか最前列で食い入るように見入っていた。胸を締め付けられるような曖昧な感情の表現、そしてレズビアンとしてのアイデンティティー……ビデオカメラに向かってひたすら心境を吐露し続ける彼女の映像は言い知れぬ迫力と一体感、何より卓越したセンスに満ち満ちていた。
いまや映像アートの新世代を代表する彼女。彼女の作品に一度は『まみれて』みてほしい。


ストーリーと言えばこれ。
■ジャン・ユスターシュ監督
『ママと娼婦(La Maman et la Putai)』


カラックスに「最も狂気じみた作品で、同時に最も美しい」と言わせた鮮烈な映画。無為に日々を過ごす青年アレクサンドルはブティック経営者マリーの部屋でヒモのように居候しながらも、昔の恋人を待ち伏せて強引に口説こうとしたり、彼女にあっさり断られると、今度はカフェで見かけた看護婦ヴェロニカに声をかけたりする。アレクサンドルがマリーと同棲しているのを知りながら、彼と深い関係になっていくヴェロニカ。彼女には多くの男と関係があったが、アレクサンドルひとりを愛し始める。アレクサンドルはそのことをマリーに報告する。一度は嫉妬したマリーだったが、結局は彼を許してしまう。衝撃の対面の後、3人の奇妙な共同生活が始まる。
2種類のステレオタイプな女性像(母親:マリー、娼婦:ヴェロニカ)である2人から愛されるアレクサンドル。ベッドの中で戯れる3人の関係は、やがて娼婦ヴェロニカの妊娠(母親化)によって劇的に崩れていく。

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