ザ.PTA さかさまつげ

Posted on, by | 12月 24, 2012 | | No Comments

ザ.PTA  さかさまつげ

第一話

大型スーパー桜田屋の前の交差点は何故か信号が青になったにも関わらず、車は停止したままで、大渋滞だった。夕方四時頃は買い物客で賑わう所だけに、事故?
山の手君子は ふと思い交差点に目を向けた。良く見ると交差点内には野菜、日常の買い物の品々が、散乱していた。一瞬、熊のぬいぐるみが、横たわっているように見えた。と思いきや巨体な女が倒れて転がっていた。その周りは人だかりで一杯だった。 [Read more…]

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■スピーク文庫 「完結した夏」NITE & NITE
#01ありのままで生きてみる。

第1章 アクシデント
東京の空が夜でも明るく私を照らす。こんな小さな私を照らす。赤や青や緑のネオンの光が信号機の移り変わりの光が、デジタルの夢の中でさまよう私の心を暗い闇へ引き込んでゆく。
渋谷の街のビルの隅で、路上を行き来する人々の足音、ハイヒールの音、笑い声、そしてこの都会に似合わないストリートミュージシャンのフラメンコギターの音色がビルの狭間で奏でている。その古いスペインのフラメンコの音色は、この渋谷の街の雑踏の中で何の意味を持つ事も無く、ビルとビルの狭間へ反響してはこの夜の空へ消えてゆく。都会生活に疲れた私の寂しい心をよけいに奈落の底へ突き落とすかのような相乗効果が気に入っていた。名前も知らないミュージシャン。私の都会のオアシスの中に居る住人の一人でもある。
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Posted on, by | 12月 1, 2005 | | No Comments

 赤いもの──そう、それがキーワードかもしれない。赤いサンダル、赤いターバン、赤らんだかかと、赤らんだ膝頭──それら赤いものだけが僕を美しく欺いてくれたのだ。魅了したり、蔑んだり、迫ったり、詰ったり、あるいは忽然と消えたり、そのようにして彼らは、いや彼女たちは、僕からあらゆるものを引き出しては、あらゆるものを押し込んで行った。
 おかげで僕ははき違えた闘牛のように常にあてもなく恋焦がれ、さまよい、交渉し、線路の脇、フタの開いたマンホール、深夜の雑木林、あるいは、誰もいないカフェのアームチェアーに落ち着いてしまう。
 ボーイがすぐそばにやって来てこう耳打ちする。
「ご注文は?」
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白い布

Posted on, by | 11月 1, 2005 | | No Comments

 角を曲がると少女が道に倒れていた。この暑さだ、倒れる者がいても不思議ではない。そう思って助けようとしたが、少女の着ているドレスの白とアスファルトの黒とのコントラストがあまりに美しいので、その場に立ち尽くしてしまった。ビルの谷間のありふれた道に、まるで白いドレスだけがふんわりと置かれているようなのだ。まるで、家族の出払ったリビングで初めて目にした、姉のウェディングドレスのように。
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ガラス

Posted on, by | 10月 1, 2002 | | No Comments

とにかく時間が気になって、何度も何度も何度も時計を見た。
それはこの後に、気の知れた友人との待ち合わせや、デート等があるからではなく、ただ、今居る、ある一定時間制限されたこの場所や、内容や、関係、とにかく全てから、とにかく早く開放されたかったからだ。

ビーズ?硝子?
小さい頃、学童保育所の片隅にぽつんとある小さな砂場で、良く遊んでいた。プラスチック製のふるいに砂を入れ、それを左右に揺らすと、網目をくぐる物とそうでない物とに分けられ、ふるいに残った砂の中に僅か、硝子のような透明の欠片が見つかる。
それはダイヤモンドだった。
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