■スピーク文庫 「完結した夏」NITE & NITE
#01ありのままで生きてみる。

第1章 アクシデント
東京の空が夜でも明るく私を照らす。こんな小さな私を照らす。赤や青や緑のネオンの光が信号機の移り変わりの光が、デジタルの夢の中でさまよう私の心を暗い闇へ引き込んでゆく。
渋谷の街のビルの隅で、路上を行き来する人々の足音、ハイヒールの音、笑い声、そしてこの都会に似合わないストリートミュージシャンのフラメンコギターの音色がビルの狭間で奏でている。その古いスペインのフラメンコの音色は、この渋谷の街の雑踏の中で何の意味を持つ事も無く、ビルとビルの狭間へ反響してはこの夜の空へ消えてゆく。都会生活に疲れた私の寂しい心をよけいに奈落の底へ突き落とすかのような相乗効果が気に入っていた。名前も知らないミュージシャン。私の都会のオアシスの中に居る住人の一人でもある。
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